Web担当者様でなくとも、「クラウド」「クラウドコンピューティング」という言葉を耳にされたこともあると思います。
ところで「クラウドコンピューティング」という言葉がどのような意味か、具体的に説明することはできますか?
「なんだかよくわからないけどいつでもデータにアクセスできるサービス」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
決して間違いではないのですが、便利だからと万能視するのではなく、改めて利点を正しく認識することで「本当に自社にとって有益な運用とは何か」を考えるきっかけになればと思います。
今回の記事では、「クラウドコンピューティング」の意味について改めて触れていきます。
一番身近なクラウドサービスは、Googleの「Gmail」ではないでしょうか。
Android OSを搭載したスマートフォンをお持ちなら、「Gmail」は最初から搭載されています。
メールのやり取りのためのプログラムやサーバを自分で調達することなく使うことができますよね。
昨年秋にリリースされたAppleの「iCloud」も、文字通り代表的なクラウドサービスの一つです。「Dropbox」や「Evernote」などもポピュラーなサービスと言えますね。
「クラウド」を端的に表すと、「サーバ上で提供されるアプリケーションをインターネットから利用する形態、もしくはアプリケーションを載せるための環境」です。
これまでソフトウェアを使う場合には、CD-ROMやDVDに入ったソフトウェアをお店で購入して(もしくはシステム販売会社と契約して)自分で別途契約したレンタルサーバ等にインストールして……といった過程が必要でした。
「クラウド」が画期的とされた、これまでと大きく違うポイントは、自社でサーバを用意することなく、無料のものは無料で、有料のものはサービス料金を支払って、インターネット上にあるサービスやサービス提供のための環境を、IDとパスワード登録のみで利用できるという点にあります。
「どこにいても同じ雲の下にいるから、雲の上にあるソフトを同じように参照できる」という概念から、「クラウド」と呼ばれるようになりました。
こうして改めて見てみると、「もう知っているし、使いこなしているよ」と思われる方も多いかと思います。
それくらい、すでに私たちの生活やビジネスに定着しています。
“特殊なもの”という印象は薄くなっていますね。
「クラウドコンピューティング」という言葉が出てきた2006年頃でも、「新しくもなんともないのではないか」「今までの仕組みに大げさな名前を付けただけではないか」という声が開発者やジャーナリストの間で上がったという話もあったほどです。
「クラウド」とはあくまでも、ソフトウェアやソフトウェアを動かす環境を提供する形態の一つにすぎません。
運用するシステムや、取り扱うデータの種類によっては、ソフトウェアをパッケージで購入するのが適している場合もあります。
クラウドを選ぶと良いケースは、一例として
などがあります。もちろんこれらは、使用目的のほんの一部に過ぎません。
クラウドでの運用が向いていないと思われるケースは、
「顧客情報や社内機密情報など、万一の場合でも絶対に漏れてはいけない情報を扱うシステムを動かす場合」
(データが格納されているサーバの管理は主にサービス事業者が行うことがほとんどなので、第三者に見せるべきでないものはクラウドでの運用は避けるべきでしょう)
が挙げられます。
「クラウド」については、システムや各サービスを運営する会社でも、日々利用者への利便を図り、セキュリティの強化をされていると思います。そうした利点を踏まえつつ、ソフトウェアやサービス、そのための運用形態の一つとして捉えておくと良いですね。
状況によってクラウドサービスを使用するのか、独自システムの構築が必要か、パッケージソフトウェアの購入をするのかを今一度吟味されてはいかがでしょうか。